定家と明月記

木 旧暦10月27日 赤口 甲戌 ニ黒土星 Nikolaus, Niklas Finlands självständighetsdag V49 21485日目 2.3℃

昨日、字のことについて書いたので、その続きを書く。随分昔、東京上野の国立博物館で書の展を見たことがあって、その時に、空海の「風信帖」の本物も見たような記憶がある。けど何となく中央のガラスケースの中に納められていた藤原定家の書いたものの方をよく覚えている。多分あれは「明月記」の一部であったのであろうと思う。妙に角ばった字で特徴があった。「明月記」なんて日記のタイトルからして優雅である。漢文が難解そうでむろん読んだことは無いが、あちこちで参照されている本である。もともと定家が日記を書くことにしたきっかけは、宮廷での儀式の順序があまりにわずらわしいので、それを正しくメモする為に書いたのだと聞いたことがある。意外に実用的な要請から生まれた文学作品ということか。かに星雲超新星爆発の目撃の記事もある。定家がこの日記をつけていた頃、自分が日本文学史上に輝く大歌人として後世の評価を受けることになるであろうとは思わなかったのではないか。そうでなければ、官位がいっこうに昇進しないという愚痴が繰り返し出てくることはないであろうと思う。天才はいつから己の才に気づくのであろうか。自分の才能に気づかぬままに素晴らしい歌を詠むという事があるだろうか。あるかもしれない。「私は美人よ」とツンとすましている女性より、自分の美しさにまだ気づかぬままの乙女の方がずっと美しいことだってあるもの。


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毎日のくだらない日記の中で、これだけはもしかすると同病者への情報を提供するかもしれないことが理由。僕のブログはなるべく自分だけ用の日記にしたいのであるが、ただで本にしてくれるなら公開されても構わない。ウエブに載せながら秘密にしたいこと自体、はなはだしい矛盾である。分かってます。

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