ユール・ティドニング

月 旧暦7月29日 大安 丁未 五黄土星 Tord, Turid 21398日目 10.9℃

来客などあるはずもないのに、最近はちょくちょく玄関の呼び鈴がなる。誰だろうと思って出てみると小さい子供である。ユール・ティドニングを注文してくれとせがみに来るのである。パズルとかカードとか本とかカレンダーとかクリスマスプレゼントになりそうなもののカタログを持って来て、この中から何か買ってくれというのである。注文をまとめれば子供にとって小遣い稼ぎになる。あどけない子が売りに来るとつい買ってやりたいと思うが、あまりにたくさんの子達が次々に来ると、応じていられなくて断ってしまう。売りに来る子供は断られる方が当たり前と思って売りに来るのであろうが、断るのもかわいそうと思う気持ちも働く。親同士にコネがある子はたくさん売り上げる。

そういえば僕が子供の頃は家に押し売りが来て、歯ブラシや石鹸を並べて買ってくれるまで動かないおっさんがいた。嫌な風景であったが、インターネットで何でも注文できる現代から見るとあんな時代がどこか懐かしい気さえする。現代は取引行為の中に人間的な要素がなくなった。取引から言葉の応酬が消えた。そんな中で子供たちは一昔前のようなやり方でユール・ティドニングを売りに来る。断られればそこでひとつ人間社会の現実を見ることになる。断られない為にどんな工夫をすれば良いか考える子もいるかもしれないと思うと、どこかほほえましい。

紅葉ごし ことわる時に 目がそれて