横浜のマンション傾斜

火 旧暦 9月8日 仏滅 己巳 一白水星 Sibylla V43 24349日目

建物を固定する杭打ち工事の手抜きで、横浜のマンションが傾いたといふニュースが毎日の様に報道されてゐる。なぜ手抜きをするのだらうと不思議に思ふ一方で、日本の工事業者が理由もなく手抜きするとも思はれない。その様に追ひ込まれてしまふ状況もあるのではないかと思ふ。羽柴秀吉は三日で城を築いたといふが、戦国の世であれば、ひと月かけて良い城を築くより、粗末でも良いから三日で出来た城の方が戦略的に重要な場合もあるだらう。けれども、平和な現代の日本でビルの建設をそんなに急ぐ必要があるだらうか。「工事は一年かかるだらうと見積もられてゐたのに、作業員全員が一致団結し、必死の努力をした結果10ヶ月で完成した」といふ類の話を美談風に聞くことがある。その限りにおいては作業員の努力は尊いと思ふが、この手の美談風のものがはびこり、短期間に工事を完成させるために、現場の空気をいやがうえにも急がさせる無理があるのではないかと危惧する。「徹夜してでもがむしゃらにやれ!」みたいな野蛮な無言の命令が現場の空気を支配することは無いだらうか。現場作業を管理する会社は、「作業員が悪いことをしないか見張る」努力よりも「作業員の能力を最大限に引き出す」努力をして欲しいと思ふ。