深夜放送

水 旧暦 8月11日 赤口 壬寅 一白水星 秋分の日 Tekla Tea Höstdagjämningen V39 24332日目

夜寝る時にラジオを枕元に置いてつけっ放しで寝る。「音がうるさくて眠れない」のは、僕に言はせれば、身体が本当に疲れてないから眠れないのであって、人は本当にくたびれたら、たとひ耳元に音がしても眠られるものである、と思ふ。だが、これは単に僕の耳が遠いからだけの話かもしれない。後半になると僕もスイッチを消す。ラジオをつけたままで寝ると、眠りが浅くなった時に遠い夢の世界から声が聞こえて来て、それがいつの間にか意識に訴へて来る様になる。無論、母国語のラジオであればの話。昨夜は佐竹直子といふ新聞記者が獄中手記をまとめることになった経緯を話してゐた。ちょっとドキリとすることもあった。僕らは獄に送られる様な人間は、多かれ少なかれ、思想的に偏った方向に走ったものではないかと、先入観念を持ってしまひがちであるが、戦前の教員逮捕事件(北海道綴方教育連盟事件)は、本当に普通の市井の人が、いきなり、獄に送られるといふ恐ろしい出来事であった。取り調べは殆ど脅迫で、強引に暴力的に認めさせられて、しまひには本当にさうであったかもしれないと変な気持ちにさせられてしまふといふ。それは、戦前の治安維持法のもとで起きたことであって、今は時代が違ふから心配は要らないと、呑気なことを考へてはいけないと思ふ。しばらく放っておけばいつの間にか庭に雑草が生える様に、今の日本にも、かつての奇妙な暴力がチラチラと頭をもたげて来てゐることはないか、用心することも大事だと思ふ。