東京物語

日 旧暦 7月3日 先負 甲子 三碧木星 Brynolf V33 24295日目

「ユーチューブでも見られるらしいわよ」、「ぢゃ、見てみようかね」、食事の時に小津安二郎監督の「東京物語」が話題に上って、二人ともこの映画を見たことがなかったので、夕食後、散歩を済ませた後でこの映画を見た。ユーチューブを検索して Apple TV でかけて見ると結構良い画面で見ることができた。昭和28年芸術祭参加作品と冒頭に字幕が出る。年老いた夫婦(と言っても今の感覚ではまだ若い)が東京を訪ねることになったが、訪ねた先では働き盛りの子供たちの足手纏ひになる。息子のひとりは8年前に亡くなってゐるのだが、その未亡人となった息子の嫁の方が、血がつながってないだけに却って親切にされて、お互ひを気遣ふ感じがよく出てゐた。高度経済成長が始まる前でも、普通の市民生活の結構忙しかった様子も感じられた。ストーリーの展開もさることながら、何気ない会話の表現が丁寧で、それはもはや古典になってゐる気もした。小津監督は一般市民に日常会話の言葉遣ひのお手本を示さうといふ意図を持ってこの映画を製作したのでは多分ないと思ふ。あの時代はまだ一般の人々の言葉遣ひが丁寧で、相手を尊敬する気持ちが残ってゐた時代であって、それがそのまま映画に現れたのだと思ふ。今の僕たちが失ってしまった何かを感じさせてくれる映画であった。