前世と来世

火 旧暦 5月15日 先勝 丁丑 五黄土星 Elof Leif V27 24248日目

人には前世があるに違ひないと僕は思ふ。ふとした折に、僕の前世はこんな風ではなかったかと想像してみることがないではない。前世を信じる人には来世も約束される。けれどもどんなに想像力を掻き立てても自分の来世の姿を思ひ浮かべることは僕にはできない。世の中には運の良い人、悪い人がある。生まれながらに頭の良い人もゐる。それらは自分の力ではどうにもできないものでありながら、実は前世の因果を引きずってさうなってゐるのかもしれない。万物は流転するので、生の後に滅があり、滅の後に生がある。余生はいくらもないからと思って努力を怠ると来世にツケが回る。老齢においては若い時よりも勤勉でなければなるまい。「今が大事」と人は言ふが、持てる力の七割ほどを今に注いで、三割ほどは来世に備へたい気持ちもある。それは怠慢とはまた違った感覚である。地上に生命が生まれてから気の遠くなる様な長い時が流れた。形を変へて進化しながらもその遺伝子は脈々と未来へ受け継がれて行く。そしてその流れこそは来世を信ずるものの拠り所である。