理科教育

金 旧暦 閏9月8日 仏滅 乙亥 四緑木星 上弦 Edit Edgar V44 24006日目

中谷宇吉郎随筆集」をパラパラと読む。面白い事が色々と書いてある。現代の人の手になる随筆も無論読みたいと思ふが、ひと昔前であっても一流の人の書いたものは読み応へがある。随筆集の内容は多岐に渉ってゐるので感想を一口には述べられないが、傾聴に値すると思はれたひとつのことは、子供の理科教育に関する意見である。科学の知識を身につけさせようとすることよりも、むしろ、迷信や怪異譚をも許容する位の非科学的な教育の方が、自然に対する驚異の念を育む事になって、結果的にその方が有効な場合もあるのではないかと書かれてゐたことである。現代の様に子供が小さい頃から数学や理工学に向かはせる知識偏重の教育からは偉大な発見は生まれないかもしれない。例へば針金に電流を流すとその周囲に置いた磁針は力を受けて振れる。さういふ事象に潜む不思議さへの驚きを感じる心が薄かったら、如何に知識が豊富でも科学者にはなれないのかもしれないと、随筆を読んでゐて思った。