鍋の乱

木 旧暦 5月15日 先勝 甲寅 九紫火星 Eskil V24 23864日目

新聞記事(日本経済新聞)に、年中無休、24時間営業の牛丼チェーン店で閉店に追ひやられてゐるところがあると出てゐた。原因は人手不足である。ワンオペレーションと言って、バイトの店員は長時間の勤務の間、たった一人で、会計、掃除、接客、洗ひ物、仕込みまでを全てこなさねばならず、トイレ休憩さえむつかしい状況であると言ふ。これまでの体制でも既に限界を超えてゐたところに、手間のかかる鍋メニューが新たに導入されて、バイト諸氏は激務に耐へきれずに店を辞め、その結果、店舗が閉店に追ひやられるのだと言ふ。これを「鍋の乱」と呼ぶさうである。記事を読んでため息が出た。かういふ状況に追ひ込まれるまで放置した本社経営トップの責任は重い。バイトを人とも思はずに、ただ時給だけで呼び込み、替はりはいくらも居ると思ってやってゐるに違ひない。若者をそんな風に使ってはいけないと思ふ。経営トップ自らが各店舗の一日店長を実践して周り、ワンオペレーションを体験してみれば良いのだ。自分に出来ないことを若者に強いてはいけない。トップはもっと良心を持って企業の社会的責任をしっかりと自覚出来なければ、若者は去り、客は離れ、会社はつぶれ、社会は悪くなってしまふ。人手が足りなければ、苦しくとも計画的に店舗を閉鎖するしかあるまい。正社員を持たずにアルバイトだけで営業しようとするからきっとその見通しさへも立てることができないのであらう。哲学を持たぬ企業はやがて淘汰されるに違ひない。