故郷の廃家

日 旧暦 11月13日 大安 乙卯 九紫火星 Gottfrid 3 i advent V50 23686日目

郷里へ移動した。冬型の気圧配置で北陸方面は天気の悪くなりさうなことをテレビが言ってゐたものだから、早朝のひかりで東京駅を出た。お昼頃に郷里へ着いたが雪は無く、予想してゐたより天候が穏やかであったので助かった。家は三ヶ月ほど空けていた割にはさほど汚れてゐなかったが、とりあへず掃除機をかけた。古い石油ストーブをつけて暖を取ったが、寒い。しかし、昔はこれくらいの寒さは皆我慢したものだと自分に言ひきかせて、時々石油ストーブにあたりに行く。そんなことよりちょっとした問題を見つけてしまって、その対策をどうするかと思案するのに時間がとられた。ちょっとした問題と言ふのは水漏れである。水道の元栓を開くと量水器の羽根がクルリと少しだけ回るが、水道を使用してゐなければすぐに動きが止まるはずである。それなのに今日元栓を開けてみるとクルクルといつまでも羽根が回り続けた。蛇口はどれもみなしっかりと閉まってゐる。と言ふことは、どこかで配管が破れてゐるに違ひない。が、どこで破れてゐるかどうやって調べるのだらう。漏れ出た水はどこかに溜まるだらうか。床や壁をはがして調べるのだらうか。ああ、普段誰も居ない家のそんなことにお金をかけられないし、かといって放っておく訳にも行かないし。思ひついた代案は、量水器のところから分岐して新しい配管を露出したルートで張り直すことである。あちこちはがして漏水箇所を調べるよりさうした方が手間がかからないと思ふ。古い家なので蛇口は方々にたくさんあるが、本当に必要な箇所に限って配管の張り直しをする。そのできるだけ簡単に済ませる工事の方法をあれこれ思案してスケッチを作ったが、それに結構時間がかかった。今日からしばらく水の無い暮らし。本当に要る時だけ元栓を開けて、用事が済んだらまた元栓のところまで行って閉めるのである。ひとりだけの暮らしならそれができる。