ヴァーサ号博物館

金 旧暦3月27日 大安 甲寅 三碧木星 昭和の日 Tyko V17 22725日目

ストックホルムにヴァーサ号博物館がある。ヴァーサ号とはヨーロッパで三十年戦争のさなか、スウェーデン国王の命令で建造された木造の戦艦であるが、政府高官と家族達だけを乗せて晴れて進水式を迎えたその日、沖合まで進むと一陣の風が吹いて、あれよあれよという間にその豪華戦艦は海底に沈んでしまった。バルト海の塩分は薄いので木の保存が良いはずだと考える研究者があって、歴史文献を頼りに沈んだ船を探し当て、実に300年ぶりにヴァーサ号が海上に引き上げられて、今はそれが博物館に収まっている。この博物館へ行くと、ビデオなども上映されていて、歴史の紹介もある。それによると船の沈んだ原因は何であったか裁判が行われた。設計が悪かったのではないかとか、大砲が床にしっかり固定されていなかったのではないかとか、乗組員は酔っ払っていなかったかとか、色々尋問があったようである。そして、その結論はどうなったかというと、真相が分からないから結局誰も罰せられなかったというのである。度量の大きい裁判であると思った。これが日本であったならどうだろう。誰かは必ず責任をとらされる。昔なら切腹もあったであろう。その傾向は今も残っていて、鉄道事故にしろ、航空機事故にしろ、原子力事故にしろ、事故が起きればそこに誰か必ず悪い人がいて、罰せられることになっている。それは管理がきちんとしているという意味では日本の良い点であるかもしれないが、形式的でありすぎることから言えば悪い点でもあると思う。事故の再発防止の為に無論、徹底的な事故の原因究明がなされるべきである。しかし、それと刑事責任とは別問題である。僕は、事故という偶然に何故自分が巻き込まれてしまったのかという、その偶然の意味を問いかけることの方が余程大事であるに違いないと思っている。