増える自殺者

土 旧暦 4月16日 先勝 己卯 一白水星 Yvonne Jeanette V21 22390日目

夏目漱石の小説を読むと、それほど裕福でもなく、さしあたっての生活費を親戚などに無心するような若い夫婦の家にもお手伝いさんがいたりする。きっとあの時代はそういう時代であったのであろう。お手伝いさんはただ「食う寝るところ住むところ」が与えられるばかりで手当てなどもらうことも無かったであろう。外に出て働きたくても仕事も無いから生きるためにそうせざるを得なかったに違いない。それはある意味で失業対策として社会の助け合いのシステムとして機能したかもしれない。今では経済が発達してみんながOLやサラリーマンになってしまったから普通の家にお手伝いさんがいることは無くなった。もし、今の時代に個人の暮らしの中にお手伝いさんが入って来られたらプライバシーも無くてかえって困る人も多かろう。だが、失業を苦にして「食う寝るところ住むところ」も無く自殺する人が増えている。それだけの理由で死ぬこともあるまいと思う反面で、社会は住処くらい与えてやれないものかとも思う。漱石の時代から比べると冷たい世の中であるが、誰もどうもできない。失業のゆえに自殺する人がいる一方で、外国人労働者が増え続けているのも複雑な気がする。