主なしとて

土 旧暦 2月 4日 大安 甲辰 五黄土星 Maria V9 21935日目

故郷の町に帰って菩提寺を訪ね、母の納骨のことなどについて住職と相談した。まだ寒いが良く晴れて、春の訪れの近いことを感じた。家にも寄ってみたが、もう母がこの世に居ないと思うと、同じ家でも別な感慨がある。小さい頃は機を織る音が町のあちこちから聞こえていたが、今はシンとして静かである。昔、町の中心であった通りを歩くと、どのお店も広いガラス戸の内側はガランと広く空いたままで、営業しているお店は少ない。栄枯はうつるの感あり。僕などは静かな町は落ち着いて良いものと心の中で思ってしまうのであるが、町に住む人たちの感想から言えば、この静けさは忌むべきものであるらしい。多少やかましくても、活気のある町で生活ができる町であって欲しい、という切実な願いがある。それも分からぬではない。店をたたんだお家の後を継ぐ人はサラリーマンになるのであろうか。ものを買う人はみんな郊外の大型店やスーパーに行くようになった。横町の八百屋さん、魚屋さんみたいなところは、日本の風景から消えるのであろうか。人の営みって何だろう。寂しいことではある。