鐘の響き

火 旧暦12月22日 先負 戊辰 ニ黒土星 Diana V05 21539日目 5.0℃

亡くなった人が七日ごとに遠くへ去ると言うのは、遺された人の思いをそのままそのような形で言うだけなのかもしれない。僕が小さかった頃、町の静寂の中にお寺の鐘の声を聞くことがあった。諸行無常の響きありという言葉を習ったのは高校に入ってからであるが、余韻が長く続き、次第に弱くなって、やがて消え行く鐘の音を聞くと、人もまたこのように次第に世を去っていくのかもしれないと、子供心に思ったものである。空に鳴り響く教会の鐘も悪くは無いが、僕は山あいに響くお寺の鐘の声に引かれる。あれは今も、日本の美しい原風景のひとつであると思っている。しかし、そのような風景は今の日本のどこにあるのであろうか。すべての価値がスピードと能率で測られる時代になった今、命の重みをかみしめて、落ち着いて静かに人を送ることが少なくなってきているのではないだろうか。