「が」と「の」の混同

水 旧暦12月9日 友引 乙卯 七赤金星 上弦04:45JST Hjalmar, Helmer V03 21526日目

万葉集に「君が行く道の長手を繰り畳ね焼き滅ぼさむ天の火もがも」といううたがある。僕らの青春時代には「君の行く道は果てしなく遠い」と歌った。「君が行く道」の「が」と「君の行く道」の「の」の意味するところはほとんど同じではないかと思う。一方は文語的であり、他方は口語的であるという違いがあるばかりである。そのせいで、自分の中で「が」と「の」の使い分けをごっちゃにしてしまうことがある。芭蕉の「笈の小文」に「西行の和歌における、宗祇の連歌における、雪舟の絵における、利休が茶における、其貫道する物は一なり」という有名な文があるが、ここに使われている助詞は「の」でも「が」でも意味は同じである。4人の場合が書かれているから、「が」と「の」を任意に当てはめる組み合わせを考えれば16通りある。それでもやはり、それらを比較すると、やはりここに書かれている通りの組み合わせでなければならない感じがする。それは何故であろうかと以前からぼんやり考えることがあった。たまたまインターネットで検索してみると、この語句は色々なところで引用されているが、驚いたことに、「が」と「の」が実にごっちゃになって引用されているのである。その為に一体どれが正しい表現であるのか、ネットの上で調べただけでは分からない。なんだか心配になって、今度日本に行った時に図書館で調べてみようと思っていた。今回の来日で、ちょっと時間を見つけて図書館に入った。7冊の本を調べてみると、果たしてどの本も僕の覚えていた通りの表現であったので、安心した。インターネットで語句を引用する時は、助詞の一字を間違わないように引用してもらいたいと、海外在住者の僕は切に思った。