兄の告別式

月 旧暦12月7日 赤口 癸丑 五黄土星 成人の日 Felix, Felicia V03 21524日目

「我思う故に我あり」。世の動き、人の歴史は自分の死後もそれに関係なく営みを続ける。しかし、それらは己の意識に上って初めて察知されるものである。では死んでしまえばそこは何も無い世界であるのだろうか。僕らが認知する世界は、唯一で絶対無二の世界であるように感じられるが、実は世界には色々な種類の世界が用意されていて、たまたま僕らが唯一無二であると思っているこの宇宙はその一形態を選び取っているに過ぎぬのかも知れない。世の中に起こる、戦争や飢饉や犯罪や、一見自分とは何の関係も無いように見える出来事も、遠いところで自分と関わりを持っているということはないだろうか。このように嫌なこと、醜いこと、残忍なことが世の中にあるのは、どこかで自分の選択を間違えているからではないだろうか。もしも、自分の心がけによって、この世界を少しでも良きものにできるのであれば、そして、もしも死を体験することで別の世界が与えられるものであるなら、兄よ、今度はどうぞより良き世界に生れてください、今日の告別式で僕はそのようなことを思った。

年末年始の時期で葬儀場が順番待ちの状況にあり、告別式は今日になった。急ぎ日本に来る為に、その予定が決まる前に帰りの飛行機を予約した同居人は、今日の告別式に参加できずに、今朝、心残りの帰国の途についた。