量子コンピューターが開くイノベーション

2021-09-15 (水)(令和3年辛丑)<旧暦 8 月 9 日> (仏滅 丙寅 一白水星) Sigrid Siri 第 37 週 第 26513 日

 

毎日の日課としてメールボックスをチェックする。いつもは短時間で終はるチェックであるが、日経ニュースメールの記事の中に「量子コンピューターが開くイノベーション」とあった。Global Tech LIVE として午後6時30分から配信と書いてあった。早速それにアクセスしてみた。偶然見ることができる時間であった。内容は大変刺激的であった。量子コンピューターのことは時々新聞記事で見ることがあるが、その現状はどうであるのか、日本での取り組みはどうなのかといふことがよく分かった。僕は定年後はもうコンピューターの話など関係ないやと思って、その手の話題には距離を置いてゐたのだが、そんな僕でもなんだかワクワクするものを感じた。従来のコンピューターが「0」か「1」かしか取らないビットを単位にしてゐるのに対して、量子コンピューターは、量子ビットといふ、「0」と「1」の重なり合った状態を単位とするのであると言ふ。そんなことを言はれても何のことか分からない。でも分からなくても良いのである。分からないと言って立ち止まるのではなく、ミクロの世界ってそんなものらしいと思って先に進むことの方が大事かなと思ふ。僕のように優柔不断で、「どっちかはっきりしなさいよ、男なら」と叱られ続けてきた人間には救ひとなるような情報の単位ではある。ともかくも、そのような原理に基づく新しいコンピューター技術が今まさに実用化される時代を迎へてゐることがよくわかった。従来のコンピューターの展開がパソコンやタブレットスマホに延びて来たように、量子コンピューターが何か消費者のガジェットとなって現れることはないだろうと思ふ。量子コンピューターは万能ではなくて、従来のコンピューターを駆逐することはない。互ひに補完し合ふものと思ふ。量子コンピューターが得意とするところは巨大な組合せの中から最適なものを一瞬で選び出すような技である。従来の科学者は、失敗したと思った実験の中に実は新発見が潜んでゐたと言ふことがある。だが、そのような偶然の発見は全てコンピューターの上で予見される時代がくる可能性がある。新素材の開発、創薬、金融のシミュレーション、消費者自身には自覚されないかもしれないが、その新しい技術の大きな恩恵を受ける時代は確実に、もう目の前にやって来てゐることを感じた。

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ゆっくりとした雲の流れに目をやる