テレビとリモコン

土 旧暦 9月19日 先負 庚辰 八白土星 Edit Edgar Alla helgons dag V44 24360日目

テレビが出現した時、受像機には電源とチャンネル選択と音量調整スイッチしかついてなかった。輝度やコントラスト、水平同期、垂直同期などの調整スイッチもあったらうが普段は触らなくて済む場所についてゐた。ケーブルはアンテナと電源だけが装置につながれてゐた。それでどんな素人でも使ひ方が分からないことはなかった。しかし、半世紀の間に技術が発達して、テレビには必ずリモコンが付き、音声と映像の入出力インターフェースは幾つもの種類が現れて多様化し、時計も内蔵され、昔のことしか知らないお年寄りにはちょっとした簡単な設定をするのも難しい時代になった。今のテレビは LANケーブルまでつながって、もう殆どコンピュータである。入出力インターフェースもHDMIに統一されつつあるから、ある意味ではシンプルなものに回帰しつつあるのかも知れないが、それでもリモコンだけはついてゐる。僕は家にあるテレビのリモコンのボタンの機能を全部説明してみろと言はれても説明できないボタンもある。将来のテレビはリモコン不要になるだらうか。ロボットに口で指示すればソースやチャンネルの切替、音声切替、音量調整も全部やってくれるかもしれない。新しい受像機を買ひ換へたら、ロボットはそれに必要な設定を全部やってくれるかもしれない。そして、「君の見たさうな番組を今フジテレビでやってるよ」とか、しょっちゅう教へてくれるかもしれない。しまひには僕の方から「少し邪魔しないでくれよ」と言はねばならないかもしれない。さうなると賢いロボットは「きっと私は邪魔なのだわ」と先読みして家出するかもしれない。結局、テレビにリモコンのない時代は来ないと思ふ。