ふるさと

金 旧暦 7月29日 大安 庚寅 四緑木星 二百二十日 Dagny Helny V37 24320日目

「ふるさとは懐かしいもの」と口に出して言ふのは簡単であるが、それがどの程度のものであるかは人それぞれであると思ふ。大雑把に言へば、どれ位長くふるさとに帰ってないかによって、それは変はる。僕自身、何年か前、うんと久しぶりでふるさとへ帰った時には、胸が灼けるほどの懐かしさに思ひがあふれたが、最近の様に数ヶ月ごとに帰る様になると、さほどの懐かしさはなくて、むしろ、日常の一部になりつつある。室生犀星は「ふるさとは遠きにありて思ふもの」と歌ったが、同意できる部分と同意できない部分と半ばしてゐる。といふのも、室生犀星が実際にふるさとへ帰ってみたけど、そこは思ってたほど良いところではなかった、むしろ失望した、こんなことなら帰らずに居た方が良かったなといふ意味にもこの歌は解釈できる。さういふ気持ちがこの歌に託されてゐるのであればあまり同意できないと思ふ。「人はいさ こころもしらず ふるさとは」といふ歌もある。古来からふるさとを愛づる人の気持ちには複雑なものがあったのかもしれない。