秋の一日

土 旧暦 9月8日 仏滅 辛亥 一白水星 上弦 Valfrid Manfred V41 23622日目

町を歩けばあたりはすべて深い秋の色に染まって美しい。一日の思ひ出がその美しさの故に人の記憶に残るほどの日は長い人生にさう多くないかも知れない。しかし、間違ひなく今日はさういふ美しい秋の一日であった。木々といふ木々が皆それぞれに勝手な色に染まりながら、全体として何故かうも調和のとれた美しさを醸すのか不思議である。空は高く青く風もなく、緩やかな光の恵みの中に逍遥すると、本当に心の慰められるのを感じる。紅葉を見るためにわざわざ旅に出るのでもない、ふと玄関の扉を開けて歩み始めればたちまちかういふ華麗なる秋の風景の中に身を置くことの出来る幸運を思った。