予約の時代

水 旧暦 5月4日 友引 己酉 四緑木星 Eskil V24 23500日目

現代は、電車に乗るにも宿に泊まるにも、どこへ行っても予約してないとダメという場合が多い。美術館でさえも予約によって入場制限しているところがある。行列を避ける工夫として結構な制度ではあるが、日常生活の中で、何かを予約する為に費やす時間が多くなった。あっちが良いかこっちが良いか、料金はどれくらい違うかなど、ネットの上で検討したりしていると、時間はすぐに過ぎてしまう。システムの調子が悪いとやり直しをせねばならない場合もある。そういうことに費やす時間を集計すると、本の一冊も読めたかもしれない。そういう時間が生活の中に入って来たのはネット社会のひとつの特徴と思う。けれども一方で、人間はそんなに決められた予定通りに動きたい動物ではない。その時の雰囲気で、上り電車に乗るつもりで駅まで来たけれど、やっぱり下り電車に乗ってどこかへ行ってみたいと思うこともある。美しい花が咲いていれば木の下陰で一夜を明かしたいと思うこともある。でもそれだとやはり風邪を引くから近くの旅館で、「今夜お部屋空いてますか」と尋ねるような旅がしてみたい。行けばどこも満室で断わられ、結局何ヶ月も前から部屋を予約して旅に出るしかないのなら、それは果たして幸福な旅なのだろうかと思う時がある。そういう旅から奥の細道は生まれようもないと思う。