林檎忌

金 旧暦5月23日 先負 庚戌 五黄土星 Johannes Döparensdag Midsommarafton V25 22780日目

「林檎忌」という言葉がある。美空ひばりほどの大歌手になると、命日に名前がつけられている。どんなに時の人であっても、有名人であるという理由だけでその命日が「○○忌」とよばれることはないだろうと思う。それは季語としての資格を持つようになることもあってか、うたに関わりの深かった人に贈られるようである。例えば歴代の政治家でそのように呼ばれる人は僕にはちょっと思い当たらない。忌日が人々に語られるということは、日本が詩歌の国であることのひとつの象徴であると思う。本人が望んでできることではなく、多くの人々から慕われることによって、誰が言い始めるともなくその日の命名が成立する。文学者でないのに、美空ひばりがそういう伝統の上に載せられたことはすごいと思う。ずばり「ひばり忌」とせずに「林檎忌」とされたところが、人気の秘密でもある。美空ひばりはほぼ昭和の終わりと共に逝った。そのこともまた、あの時代を懐かしむ人々の共感を誘う一因となっているのかもしれない。