スウェーデンのミリタリーサービス

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今日の新聞によると、スウェーデンは来年からミリタリーサービスを再開するとのこと。ミリタリーサービスと書くと柔らかく聞こえるかもしれないが、つまりは「徴兵制」である。兵士を養成する学校を来年から開校し、ここは男子も女子も条件は全く同じで、そこで学んだ後、多分何年間か徴兵されることになる動きの様である。「困難に陥った人をどの様に助けるかなどの教育を受けること自体には興味があるけれども、その後実際に徴兵が義務付けられるならそれは間違ひだ」といふ、卒業間近の高校生の意見などが地方紙 Södermanland Nyheter に出てゐた。スウェーデンの徴兵制は 2010 年に廃止されたのだが、それがまた元に戻ることになった。その背後にあるのはロシアの脅威である。バルト海にはゴットランド島が浮かぶ。そこには軍の重要設備のエリアがあり、何年も前、観光で訪れた時に僕はその付近には近づかない様に気をつけた記憶がある。その辺りにどうやらロシアの脅威が顕在化する心配があるらしい。ひょっとすると現代のロシアの野望は僕ら一般人の想像をはるかに超えてゐるのかもしれない。あるひは言ひ方を変へれば、ウクライナといふ「緩衝地帯」を失ふ時に持つであらうロシアの危機感を、僕たちは正確に想像できないのかもしれない。ここでは「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼する」のはあまりにも無力といふことだらうか、自発的に入隊してくる人たちだけでは到底守りきれないことが徴兵制再開の理由であるとのことである。スウェーデンは昔から中立国であったから、今も NATO の一員ではない。けれども、なんとなく NATO に歩み寄る動きがある様にも感じられる。もし今の日本で徴兵制が論じられるならば、天地がひっくり返った様な騒ぎになるだらう。でもそれがスウェーデンの今日の現実の姿なのだ。恐ろしい時代にならないか、心配だ。