因果の時差

土 旧暦 1月27日 先負 丙戌 二黒土星 啓蟄 Tora Tove V9 24486 日目

高校時代の三年間のことを僕は今でも時々思ひ出す。それだけあの時代は多感であったのだと思ふ。ただ、当時の僕は非常に精神年齢が低かったから、自分の身の回りの人達は同級生であっても殆どお兄さんお姉さんであった。要領が悪いといふのか、自分なりにそれなりに勉強したつもりでも成績はいつも悪かった。あの頃勉強したことは今ではすべて綺麗さっぱり忘れてしまったが、それでも一つだけ皮膚感覚で体得したことがあった。それは、ちょっと勉強してもそれが成績として現れるのに短くても月単位で遅れがあることだった。少し勉強の手をゆるめると、その影響も二、三ヶ月してから現れて来る。仏教では因果応報といふことを言ふが、因果の間には時差があることを思ったのだ。このことは高校を卒業した後もずっと僕の中では一つの定理になってゐる。ただ、モノによってその時差が長いこともあれば短いこともある。会社生活を引退した今では、なるべく毎日の生活を精進する様に心掛けるのだが、その成果が現れるには長い時間がかかる様だ。少し調子が良いかなと思っても、サボるとその影響は何ヶ月か何年か後に現れて来るので油断ができない。僕はもう仕事をしないから良い様なものだが、スピード時代である現代は、仕事や研究などですぐに成果の現れない時、簡単に切り捨てられる傾向があるのではないかと若い人たちのために心配である。もっと緩やかな時の流れの中に生きたい。