Eva に頭を刈ってもらった日

火 旧暦 11月16日 友引 壬午 一白水星 小寒 Kasper Melker Baltsar Trettondedag jul V2 24073日目

Eva が家に来て散髪をしてくれた。僕自身は散髪はさほど嫌ひでもないのだが、なかなか床屋へ行かない。と言ふのも、僕は床屋へ行けば「なるべく短く刈って欲しい」と頼む癖がある。床屋の主人もしくは女の人から「どの様になさいますか」と聞かれた時の返事が苦手である。日本に居た頃はその様に聞かれると、「傍目になるべくクソ真面目な勤め人に見える様な髪型でお願ひします」と答へるのが常であった。でも今は素直に「なるべく短くお願ひします」と答へる。そして床屋から帰ると、同居人は決まって目を丸めて「どうしてそんなに短くしたの」と強く文句を言ふ。「ほっといてください」と跳ね返せば良いのだが、つまらぬことで家庭不和を起こしてはいけないし、それよりことによると、同居人の言ふ通りにすれば、女にモテる様になるかもしれないと言ふ下心もあって、この頃は黙ってひとりで床屋へ出かけるのに二の足を踏むのである。今朝など櫛を通さぬままだと「小泉純一郎」風であったのだが、同居人は「司馬遼太郎」風にしろとか、無茶なことを言ふ。そこへEva が来て、三人でなにやら話しながら、Eva に刈ってもらふことになった。Eva は絵を描くのもうまいが散髪もうまい。「さあどうぞ」と整髪が済んで、メガネをかけて鏡の前に立つと、綺麗に仕上がったその髪型は「フジ三太郎」であった。