夏に 雪のある風景を思ふ

2022-08-18 (木)(令和4年壬寅)<旧暦 7 月 21 日>(先負 癸卯 六白金星) Ellen Lena 第 33 週 第 26854 日

 

深い雪に埋もれる様に佇む家の風景を思ふことがある。インターネットはもちろん、テレビもラジオもなく、新聞も来ない。春になって雪が溶けるまで何もすることがない。その様な生活が昔の日本にはあった様な気がする。「母さんの歌」なんてまさにそんな時代を思はせる。その様な生活は幸せではないかもしれないが、落ち着いた生活ではあっただらう。スウェーデンにやってきた当初は、まだインターネットもなかったし、日本語のラジオ放送も短波放送でやっと聞けるくらいだった。身の回りに日本語がないので、たまに日本から出張で来た人が置いて行ってくれた週刊誌などは貴重であった。こちらに来てまもなく、昭和天皇のご容態がすぐれないといふニュースも日本から出張で来た人から伝へ聞いたものだった。それで、今の様にコンピュータ上で日本の新聞を同時に読むことができたり、ラインで日本の友達と連絡できたりするのは夢の様な話である。ただ、今はあまりに情報が多いので、却って疲れてしまふことがある。やれ、ウクライナ情勢がどうした、コロナ感染状況はどうなった、洪水の被害が出た、気候変動はどうなる、などといふ目まぐるしい報道がいつも騒がしい。たまにはコンピュータにアクセスしない日もあって良いかと思ふのだが、なかなかそれもできない。そんなことを思ひつつ、深い雪に包まれた家の風景を懐かしむのである。

あとひと月ほどで秋分。夕暮れが早くなった。