「すごい物理学講義」読後感2

2022-03-29 (火)(令和4年壬寅)<旧暦 2 月 27 日>(仏滅 辛巳 六白金星) Jonas Jens 第 13 週 第 26718 日

 

20世紀の発見で最重要のものは「相対性理論」と「量子力学」である。「相対性理論」にはニュートン力学とマクスウエル電磁気学を統一的に記述した「特殊相対性理論」と、それをさらに重力までを含めて改めて時空を記述した「一般相対性理論」とがあるが、いづれアインシュタインが提唱した。一方の「量子力学」はアインシュタイン光電効果の発見などでその成立に寄与してゐるものの、ニールス・ボーアハイゼンベルクなどのコペンハーゲン派の物理学者たちと見解が合はなかった。「一般相対性理論」と「量子力学」とは矛盾する状況があったのである。アメリカのリチャード・ファインマン、日本の朝永振一郎博士などが「くりこみの理論」でこの困難を解消させたが、どこかテクニックに依存したきらいがあり、ことの本質の素直な理解には距離があるような印象があった。その統一を巡ってはその後も発展があり、いはゆる超弦理論がその最もゴールに近い学説であると、この本を読むまでは僕はそんな風に理解してゐた。ところが、カルロ・ロヴェツリが提唱する「ループ量子重力理論」によると、時空の構造そのものに最小単位があると言ふ考へを導入することによって、これらの矛盾が解決すると言ふのである。その理論が正しいのかどうか、僕には全くわからないけれども、その語られる口吻の中に、真理を語る人だけが持つ何かがあるように感じられて、心が動かされた。時空の構造そのものに最小単位があると言ふ考へが正しいなら、この世界の構造の認識を根本から改めなければならない。そこでまた興奮したのである。

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