スウェーデンの使用済み核燃料の最終処分場

2022-01-28 (金)(令和4年壬寅)<旧暦 12 月 26 日>(先勝 辛巳 九紫火星) Konungens namnsdag Karl Karla 第 4 週 第 26658 日

 

スウェーデンでは昨日、政府が使用済み核燃料の最終処分場についての計画案を承認した。スウェーデンでは1976年から使用済み核燃料の最終処分方法に取り組んできたが、曲折を経て Forsmark に最終処分場を置くことで計画が進められて来た。およそ50年かかって漸く政府がこの計画を承認する段階になった。そもそもスウェーデンでは2010年までに原子力から撤退するといふ、勇ましい方針を持ちながら、それが実現できなかったといふ経緯がある。2011年に福島で原子炉溶融事故が起きて、脱原発への機運は一層高まったものの、温室効果ガスの削減のためには原発はやはり必要ではないかといふ意見もある。果たしてスウェーデンは新しい原子力発電を建設すべきかといふ論争もあって、それらが絡んで最終処分場の承認が遅れたとみる人もある。さらに、使用済み核燃料を地下に埋めるよりも再処理して燃料として使ふことにしてはどうかといふ議論もあるけれども、開発に費用がかさみ、また日本で「もんじゅ」がトラブルを起こして頓挫してゐることなどから、この考へはあまり現実味が無いように思はれる。いづれにしても、使用済み核燃料の最終処分場は早く建設しなければならないので、昨日の政府による承認は大きな一つの通過点であると思ふ。これまでに発生したスウェーデンの使用済み核燃料は、Oskarshamn にある CLAB といふ中間貯蔵設備に保管されてゐる。これがやがてはForsmark の最終処分場に移送されることになるが、それが実現するのはどんなに早くても12年後であるとみなされてゐる。最終処分場をどうするかは、原子力を利用するすべての国で真剣に論じられなければならない共通の課題である。最終処分には10万年といふ途方もない年月がかかるとされてゐるが、どんなに頑丈なキャスクでもそんなに長く持つはずはない。特に最初の千年は線量もまだ高いことが予想される。どんな場合でも、漏えい量が自然界にあるバックグラウンド放射線量の100分の1以下に抑へられるように考へられてゐる。日本でも最終処分場をどうするかは大きな課題である。核燃料サイクルを続行する場合でもその課題は残る。その上に、福島の溶融した原子炉から核燃料をどのように取り出すかといふ厄介な問題もある。日本列島はユーラシアプレートや太平洋プレートなど、4つのプレートのせめぎ合ふ場所にある。頭の痛いことである。

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気温はほぼ 0℃。今日も何とか散歩ができた。