平家物語「僧都死去 3」

2022-01-15 (土)(令和4年壬寅)<旧暦 12 月 13 日>(赤口 戊辰 五黄土星) Laura Lorentz 第 2 週 第 26645 日

 

有王がこの島にやって来てから二十三日といふ日に、俊寛僧都はその庵のうちで遂にお最期を迎へた。御年三十七歳であった。有王はその虚しくなった姿に取り付き、天に仰ぎ、地に伏して、泣き悲しんだがどうすることもできない。気がすむまで十分に泣いて、「すぐに後世のお供を仕るべきであると心得てはをります。けれどもこの世には姫御前がゐらっしゃいます。後世とぶらひ申し上げる人もありません。もうしばらくこの世にながらへて、後世のとぶらひをいたします。」と言って、俊寛の生前の寝所をそのままにして、庵を壊してその上に積み重ね、松の枯れ枝、葦の枯葉を集めて覆ひ、火をつけて、海岸で漁夫が塩を作るように、藻塩の煙となした。荼毘に付した後、白骨を拾ひ、首にかけ、また商人船に乗せてもらって九州に着いた。

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今日も散歩をしなかった。