系図

2021-10-01 (金)(令和3年辛丑)<旧暦 8 月 25 日> (友引 壬午 三碧木星) Ragna Ragnar 第 39 週 第 26529 日

 

系図といふものは男親をたどって先祖を尋ねる図である。母となった女性の身分の貴賎はあまり問はれない。これは何も日本に限った話ではなく、新約聖書のマタイ伝第1章も系図で始まるが、その系図にはマリアの夫ヨセフの祖先が辿られて、マリア自身の先祖には触れられてない。ユダヤ社会もきっと男社会であったのだ。現代は女性の時代と言はれるが、女親をたどった系図が社会で一般化されるまでは男社会は治らないのではないかと思ふ。平面的な図に書き表すのは難しいが、男親と女親の両方を延ばして書き表す系図があっても良いのではないかと思ふ。500年ほども遡れば、ひとりの先祖は百万人以上になって、遡るほどに幾何学的に数が増して当時の人口を超えてしまふ。閉じた社会の中で、血の繋がりのあるもの同士の交はりがあったに違ひない。上の方は浄らかで、下は穢れてゐるといふ身分の序列は、この閉じた社会がしっかりと閉じてゐたからではないかと思ふ。平清盛白河上皇落胤といふ説もあるが、父忠盛の先祖を尋ねれば桓武天皇第五の皇子に至る。また、源義朝清和天皇の第六皇子を祖としてゐる。身分の高い人が世に溢れて、その対策として姓を与へられ臣下に降りることは古来よくあったのだと思ふ。すると現代は平民であっても、このように両親の系統を何代もたどっていけば、どこかで高貴な血から分かれたものであることが判明する人もあるかもしれない。

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10月は木枯らしで始まった。ゴォッーとうなるような音をたてて林が揺れた。