俊寛僧都

2021-08-30 (月)(令和3年辛丑)<旧暦 7 月 23 日> (大安 庚戌 八白土星)下弦 Albert Albertina 第 35 週 第 26497 日

 

鬼界ヶ島は平家物語のハイライトのひとつだと思ふ。三人は同じ罪で流罪となったのに、丹波少将と康頼入道の二人に帰洛が許されて俊寛にだけは許されなかった。そこで俊寛は俺も連れて行ってくれと懸命に頼むのだが許されない。しかし、物語の前の方では俊寛は太々しい悪僧として描かれてゐるので、鬼界ヶ島で弱々しく情けを乞ふ様子といかにも不釣り合ひな印象を受ける。吉川英治の「新・平家物語」では俊寛は現地の生活を楽しんでみづから進んで島に残ったとされてゐたように記憶する。また、芥川龍之介に「俊寛」といふ短編があって、様々な琵琶法師が俊寛の物語を様々なかたちにしてしまったと書いてある。「一体琵琶法師などと云ふものは、どれもこれも我は顔に、嘘ばかりついてゐるものなのです。」とも書いてある。「俊寛様の話ですか?俊寛様の話位、世間に間違って伝へられた事は、まづ外にはありますまい。」とも書いてある。自分の暮らしぶりのここでの楽しい様子を友に伝へたいと云ふ意味に取られる、俊寛の次の歌は「源平盛衰記」にあるさうである。

見せばやな我を思はん友もがな磯のとまやの柴の庵を

f:id:sveski:20210831042428j:plain

あちこちにキノコを見かける季節になった。