万葉集に垣間見る蘇武伝

2021-08-07 (土)(令和3年辛丑)<旧暦 6 月 29 日> 仏滅 丁亥 四緑木星立秋 Dennis Denise    第 31 週 第 26474 日

 

大伴家持の歌に

雁がねは 使ひに来むと騒くらむ 秋風寒み その川の上に

といふ歌がある。平家物語の「蘇武」を連想させるものがある。むろん、万葉集の方が時代は先である。「万葉百歌 こころの旅(松本章男著 集英社新書)」のこの歌の解説の箇所に「漢書」蘇武伝の故事が紹介されてゐる。それによると漢の武帝は、匈奴から来た表敬使節への返礼として、蘇武を団長として派遣したことになってゐる。その折、匈奴に内乱があり、君命を辱めることになったために蘇武は漢へ帰ることができなくなった。武帝がなくなってから匈奴と漢は和睦する。漢は蘇武の身柄の引き渡しを要求したが、匈奴は蘇武は死んだと嘘をつく。それで、漢では、雁の足に蘇武からの手紙がついて来たのだから生きてゐる筈だと、こちらも作り話の嘘をつく。そのようなやりとりがあって、蘇武の生存が確認され、蘇武は漢に戻ることができたとなってゐる。平家物語の記述とはかなり違ふ。平家物語の方は物語として面白くなるように随分脚色されてゐると思ふ。

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一日中雨で、昼の散歩は行かなかった。