平家物語「蘇武 2」

2021-08-03 (火)(令和3年辛丑)<旧暦 6 月 25 日> (赤口 癸未 八白土星) Tage    第 31 週 第 26470 日

 

「ああ何と無惨なことだ。これは蘇武の名誉の筆跡であるぞ。蘇武はまだ胡國で生きてゐるのだ。」昭帝はさう言って、今度は李廣といふ将軍に命令して、百万騎を派遣した。今度は漢が勝った。味方が勝ったと知って蘇武は人のゐない野原よりはい出て「我こそは昔の蘇武である」と名乗った。19年の星霜を経て、片足を切られながらも、輿に乗って故郷へ帰った。蘇武が胡國へ出発したのは16歳の時であったが、その時帝より旗を授けられた。それをどのように隠し持ったのであろうか、ともかく肌身離さず持ち続けたのであった。それを今取り出して、帝の見参に入れると、帝も臣もホーッと感嘆の声をあげた。主君のための大功は並びなかったといふことで、たくさんの大国を賜った上、属国を司る役職も与へられたといふことである。

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僕らの町にも大雨を降らす雲がかかってゐると注意報を見たが、無事であった。