布団職人の話

2021-07-08 (木)(令和3年辛丑)<旧暦 5 月 29 日> (先負 丁巳 三碧木星) Kjell    第 27 週 第 26444 日

 

NHK World のオンデマンドに ”The Professionals” といふ番組がある。「NHKプロフェッショナル・仕事の流儀」の英語版といふことかもしれない。Futon Craftsman が取り上げられてゐて、つい誘はれるように見てしまった。そのタイトルは ”Do Something Anyone can Do To the Fullest.” といふものであった。日本の職人の素晴らしさに敬服した。また色々な意味で感動した。感動のひとつは、「誰にでもできることを」といふところである。自分の身に当てはめれば、例へばお掃除である。お掃除は誰にでもできる。でも不平を鳴らしながらやるのではなくて、真心を込めてやれば、そしてそれを続ければ、きっと人間としても成長できるのではないかと改めて思った。職人にはなかなかなれないが、その志への入口となる練習課題は案外身近なところにも見つけることができるかもしれない。最近の産業界では、能力の高い人、トンがった人材が求められる。そしてそのような人には初任給から高給があてがはれることもあるように聞く。社会が成長するためにはそのようにしなければならないのかもしれない。でも人は知らず識らずのうちに傲慢になることはないだろうか。彼らは「私にしかできないことを」やるのである。最終的にどんな生き方を選んで自分が納得できるかどうかの問題であるから比較はできないが、僕個人は職人的な生き方の方が素晴らしいと思ふ。もうひとつ感動したことは、綿を打ち直せば布団は新しくなることである。布団なんてせんべい布団で十分だとずっと思って来た。でも新しい布団にすることで毎日生きるこの時間の質が向上する可能性もあること、それは自分が予想してゐる以上のものかもしれないことに気付かされた。「質素・倹約」は僕にとっては美徳であるし、できるだけそのように生きたいと思ふが、そんな中で、これにだけはお金をかけても良い、と思へる何かをもし見つけられたら、それはその人の人生を豊かにするのではないかと思った。

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北の空の夕焼け