平家物語「西光被斬4」

2020-11-14 (土)(令和2年庚子)<旧暦 9 月 29 日> (先勝 辛酉 九紫火星) Emil Emilia   第 46 週 第 26209 日

 

その翌日は安元3年(1177年)6月1日である。まだ暗いうちから、平清盛入道は検非違使・安陪資成を呼んで言った。「必ず院の御所へ参れ。信業を呼んで次に述べる言葉をよく聞け、と申すのだ。「法皇さまの側近の人々がわが一門をほろぼして天下を乱そうとする企てがある。それらのひとりひとりを捕まへて問ひただすことになる。清盛のすることに法皇さまも干渉なさらずにいただきたい。」その様に申して参れ。」この命令を受けて資成は急いで御所に向かった。大膳大夫信業を呼び出してこのことを告げると信業の顔色が変はった。御前へ参ってこのことを奏聞すると、後白河院は「ありゃ、あのものどもが内々計画したことが漏れてしまったか」とただお驚きになるばかりである。それにつけても「これは何といふことだ」とばかりおっしゃって、かうせよといふはっきりしたお返事もなかった。資成は急いで館に戻り、入道相国にこの様子を報告した。清盛は「だから言はないことではないのだ。行綱の申したことは本当であった。もし行綱がこのことを知らせずにゐたならば浄海安穏ではなかったぞ。」と言って、飛騨守景家、筑後守貞能に謀反の輩を召し取る様に命令なさった。それで二百余騎、三百余騎があそこに、ここに押し寄せ押し寄せて謀反の一味をからめ取った。

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