平家物語「西光被斬1」

2020-11-01 (日)(令和2年庚子)<旧暦 9 月 16 日> (赤口 戊申 四緑木星) Allhelgonadagen   第 44 週 第 26196 日

 

平家物語の「西光被斬」は結構長いので、全部を写し終へてからブログに書くと長くなる。それで間をおきながらその都度少しづつ書く。思へばこの年になるまで、日本人でありながら、平家物語をキチンと読んでなかったので、この機会にゆっくり読み進みたい。その際、機械を使はず、手で写し取りながら読み進むのはなかなか良い体験だと実感しつつある。この先どこまで続けられるかわからないが、これもコロナのおかげではある。物語は俊寛たちの鹿ケ谷の陰謀がバレる局面に入る。有名な場面で、物語前半のハイライトのひとつであると思ふ。これまでの比叡山の座主流し騒ぎはどの様に関係してくるのか、、。

「大衆が前座主を奪ひ返しましたよ」そんなニュースが後白河院のお耳元にも届き、法皇はますますご不快に思し召した。西光法師が申すには「山門の大衆が騒々しいことをしでかすのは何も今に始まったことではありません。しかし、今回はもってのほかのことと存じます。これほどの狼藉をこれまでに聞いたことはありません。何卒、厳重な処分をなさいます様に」我が身が今にも滅びるであろうことに思ひいたらず、山王大師の神慮もはばからず、こんな風に言って宸襟をなやませ申し上げるのであった。他人を讒言する臣下は国を乱すといふ。その通りである。叢蘭がおひ茂ろうとしても秋風がこれをやぶる、また、王者が明るくしようとすると悪い臣下がそれを暗くするともいふ。これらの言葉はいまの様な状況をいふのであろう。新大納言成親卿以下近習の人々にご指示があって、比叡山が攻撃されるといふ噂が立った。山門の大衆の中には、「天子の御領地に生まれて天子の命令に背くべきではない」と言って、内々院宣に従ふと言ひ出すものも出て来た。前座主明雲大僧正は妙光房にゐらっしゃったのだが、大衆に動揺するものがあることを聞いて「遂にはどんな目にあふことになることやら」と心細げにおっしゃるのであった。しかし、その後流罪になることはなかった。

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だんだんと冬景色に近づいていく