爪を切る場所

木 旧暦 3 月 4 日 赤口 辛巳 三碧木星 Olaus Ola V16 25272 日目

日本からスウェーデンに移動した直後は、その間に溜まった郵便物のチェックなどを含めて、結構やることがたくさんある。旅行から戻った気分の高ぶりはすぐには収まらないので、結構の作業をすることになる。時差ボケが出るのは移動の直後よりも、2、3日後になってからの方が辛い。3月にこちらを出発した時はまだ雪が降る心配もあって、自動車のタイヤは冬タイヤのままであった。それで今日はまづ自動車工場へ行って、夏タイヤに交換してもらった。その足で、プールにも行った。泳ぐ距離は短くしておいたが、サウナに入ったり、身を整へると気分が良くなる。しばらく病気をして手足の爪も伸びてゐたから、空いてゐる更衣室で手入れもできた。僕は家ではあまりシャワー・入浴をしない。ヒゲを剃ったり爪を切るのもプールで済ませることが多い。人の少ない時間帯に行けば、自分のロッカーの前に椅子を運んで座り、手足にクリームを塗ったりして、ゆっくりできる。同居人は若い頃から、「家に鏡台がないのは不便ね」といふことがあった。同居人が不足に思ってゐたのは、多分、鏡台そのものではなくて、この様に身をくつろがせる空間が無いことを言ってたんだと思ふ。僕には建築の知識もないし、自分のために新しい家を設計する様な年齢でももはやないのだが、もしも、自分が家を設計するなら、身を清めるための部屋を考へたいと今は思ふ。普通の家の洗面台は立ったままで歯磨きなどするのだが、それでは落ち着かない。部屋には広い机、大きな鏡があって、もちろん椅子がある。そんな部屋にひとり座って、ゆっくりと身を整へることができたら、人生はかなり豊かになるのではないかと思ふ。本や新聞を読むなら、駅のホームや電車の中ででも読める時代である。だが、身を清めるにはそれなりの場所が必要だ。その意味では、身を清める部屋は、書斎よりも大事な部屋になる時代が来ると思ふ