アインシュタインのメモ

火 旧暦 12 月 14 日 先勝 壬戌 五黄土星 Gunilla Gunhild V05 25193 日目

二日ほど前の朝日新聞「窓」といふコラムに「おばあちゃんが残した天才のメモ」といふ記事があった。ここで言ふ天才とはアインシュタイン博士のことである。博士は 1922 年(大正11年関東大震災の前年)来日された。(季節は晩秋で、神戸港に着いて、京都から汽車で東京に向かはれた。雪の富士山が入り日に映えてその美しさに感動されたといふ逸話もある。東京駅に到着した時に群衆から熱狂的に迎へられた話も聞いたことがある。)帝国ホテルに滞在した時に、心境を便箋に綴り、日本人ベルボーイに渡したと言ふ。お金ではないチップを渡すといふ、そのことだけで、僕はもう感動してしまふ。その時の直筆のメモがこのほど、ドイツで発見されて競売にかかり、巨万のお金になったといふ記事であった。そのことの話題性よりも感動的であるのは、そのメモの内容であった。新聞記事によれば次の様に書かれてあったさうである。「静かで質素な生活は、絶え間ない不安にかられながら成功を追ひ求めるより、多くの喜びをもたらす」。定年退職して3年目の僕の身に、その言葉は、しみじみと染み渡る様に響いて来るのだった。