時計が正確な時代

火 旧暦 2月10日 大安 癸巳 九紫火星 Camilla V10 24864 日目

今と昔を比べてみるに、今は正確な時計が増えたと思ふ。身の回りに時計そのものの数も増えたけれども、どれもコンピュータと繋がって正確な時刻を示してくれる。僕の若かった頃は腕時計でも柱時計でも身の回りの時計はあまり正確ではなかった。それだけ気楽でもあった。正確な時報はラジオが頼りであった。ちなみに3秒前から予告を流す時報は日本に特有なのかもしれない。そこに日本人の几帳面さが象徴的に表れてゐる様な気もする。水晶振動子を用ゐたクォーツが現れた時は革命だと思った。それを自分の腕時計として持った時は本当に嬉しかった。天体の運行と自分とが一つに繋がった様な感激を覚えたものだ。それが今ではもっと正確な時計が身の回りに溢れてゐる。だが、現代の僕たちが時として感じる息の詰まる様な閉塞感は、もしかすると、この正確すぎる時計のせいではないかと思ふことがある。昔は締切日でも、「当日消印有効」なんてあったけれども、コンピュータ社会の今では、「締め切りは3月8日23時59分です」の様になる。いつでも何か追ひ詰められてる感じがする。でも、僕らはもう緩やかな時間に戻ることはできないのだ。