単数と複数

金 旧暦 12月30日 大安 甲寅 六白金星 Göte Göta V4 24825 日目

日本語を学ぶ外国人は、日本語の名詞に単数複数の区別がないことを非論理的に思ふかもしれない。けれども、日本人である僕には、単数か複数のいづれかであるかを指定しなければならないことは煩はしく思はれる。僕は未だに単数と複数の使ひ分けがよく分からない。例へば、「エンジンといふものは潤滑油がなければ動かない」を英語にする時、エンジンは単数なのだろうか、複数なのだろうか、どうしてここでそのどちらかを選ばないといけないのだろうと思ったりする。Oxford Advanced Learners の例文中に、”Engines won’t run without lubricants.” とあるのを見たから、多分、かういふ時は複数にするのだと思ふ。では、「能ある鷹は爪を隠す」を英訳する時、鷹は単数で表すべきだろうか、複数で表すべきだろうか。無論、意訳して、”Person who knows most often says least.” とやれば良いのだろうが、元の文を直訳すればどうなるだろう。自信はないが、僕は、”A capable hawk hides the nails.” と単数にすべきかなと思ったりする。そもそも単数複数の区別など最初からなければ便利であろうにと思ふ。日本語に単数複数の区別が無いと言っても、読み手にどちらか分かってしまふこともある。「古池や蛙飛び込む水の音」の蛙は単数であるべきだし、「鵲の渡せる橋に置く霜の白きを見れば夜ぞふけにける」の鵲は複数だ。形の上で区別しなくても意味の上でどちらか決まることがあるのだから、言葉としてはそんな方が便利だと思ふ。