軍配はトランプ氏に

水 旧暦 10月10日 先勝 乙未 二黒土星 Teodor Teodora V45 24734 日目

アメリカの次期大統領はトランプ氏に確定した。驚きである。まさかである。と思ふ心の反面で、「やはりさうか」と言ふ気分も無いではない。これと似た気分を数ヶ月前、イギリスのEU離脱に関する選挙の時にも感じた。一方はイギリスの、他方はアメリカの、二つの選挙結果にみられるこの似通った傾向は決して偶然のものではない。事前予想統計に引っかからなかった人たちの胸に去来するものはただ一つ。「自分に悪影響が及ばないなら世の中がひっくり返れば面白い」と言ふことだ。心理的に誰の胸にもあることかもしれない。でも、それの集合を民主主義と呼んで良いのだろうか。これと似た考へで、現政権を倒しさへすればきっと社会は良くなるに違ひないと信じて、5年前、チュニジアリビア、エジプトなどで連鎖的に革命が起きた。いはゆる「アラブの春」と呼ばれる一連のムーブメントであったが、その結果、本当の春は訪れず、却って悪い方向に時代は進んだ。僕にはイギリスもアメリカもアラブ諸国と似た様な発想をしてゐるとしか思はれない。どの国にも、この先に本当の春は来ないと思ふ。今のアメリカが抱へる問題は、一政治家が新しい政策を打ち出して解決できるものではない。それは過去何十年にわたりアメリカが犯して来た過ちの報ひであるのだ。だから、それを良い方向に持って行くには、まづその反省の上に立って、やはり何十年と言ふスパンで根気よくより良い方向に持って行くしか方法はないのだ。トランプ氏がアメリカを強い国にしてみせると力んでも、過去の因縁からそれはできない。この点、オバマ大統領はこれまでかなり正しい方向に舵を取ったと思ふが、一般大衆にはそれが分からなかった。日本では、米軍が沖縄から撤退することも十分視野に入れなければならない。基地移設問題は米軍が撤退するなら移設も何もあるまい。これまで、「沖縄から出て行け」と叫んだ人たちには朗報かもしれないが、その心の奥に、本音として口に出すことのできなかった大きな別の不安が待ってゐるのではないだろうか。そして何より、中国、韓国、北朝鮮を巡る力のバランスに日本はどう対応して行くのか、これまで以上に、日本の外交はアメリカに頼らない真剣な対応が求められると思ふ。