同時多発テロから15年

日 旧暦 8月11日 赤口 丙申 七赤金星 Dagny Helny V36 24676 日目

アメリカの同時多発テロ事件から15年が過ぎた。21世紀に入って、誰もが明るい未来を描いてゐたところへ、いきなり不穏な時代の始まりを予告するかの様な衝撃の事件が起きた。テロ組織との戦ひはこの時から始まって、アメリカはアフガニスタン空爆イラク戦争へと軍の行使を進めて行った。しかし、この一連のアメリカの動きは、結果から言ふと、事態を更に悪化させるだけであった。今やテロ組織は中東やアフリカに跋扈し、シリアなどでは市街に戦火が連なり、普通の暮らしができなくなった人たちは難民となって欧州に流入するところとなった。歴史に「もしも」は許されないのであるが、もしも、15年前のあの日から、アメリカがもっと違った方向に舵取りをしてゐてくれたなら、今日の世界はもう少し秩序ある状況で居られたのではないかと思ふ。恨みを持って恨みに報いてはいけない。あの時、世界に冠たる平和憲法をいただく日本に与へられた使命は、自衛隊イラクに派遣することではなくて、アメリカを諌めることではなかったか。今、この状況から、世界がもうこれ以上悪くならない様にするためにはどうしたら良いかをみんなで考へるべきではないかと思ふ。今のアメリカでは、オバマ政権はテロ対策が不十分であると非難されて、その分、共和党が支持率を伸ばしてゐる様に見受けられるが、それは間違った方向を向いてゐる。これ以上、テロ対策を強化しても事態は更に悪くなるばかりだ。若者の多くが現状に不満な気持ちで居ることは分かるが、何故この様なことになったのか、その原因を深く考へずに、「今の政治家が変はってくれさへすれば世の中は良くなる」と単純に思ひこんでは事態をますます悪くするばかりである。