永六輔のうたの時代

火 旧暦 6月9日 友引 乙未 五黄土星 上弦 Herman Hermine V28 24615 日目

作詞家の永六輔が亡くなった。何年も前のご本人のインタビューなどでは、「ぼくは作詞家じゃなくて、ある時期作詞をしてその時に八大さんと会った、ぼくはそれ以後作詞はしていませんから」といふことなのだが、僕ら昭和の後半を生きて来たものとしては他のどんな業績よりもまづ作詞家としての永六輔を悼みたい。戦前の古賀政男に代表される歌謡曲の時代と、戦後のフォークやニューミュージックの流れとをつなぐものとして、中村八大と永六輔のコンビが築いた歌の世界は誠に大きかったと思ふ。戦後の日本の民主主義の発達と高度成長の時代を無条件に思ひ出させてくれる歌の数々は今も僕を元気にしてくれる。中村八大が亡くなったのは1992年で、それ以降は僕はスウェーデンに渡った後のことなのでよく知らないのだが、昭和の時代の歌には力があったと思ふ。無論、若い世代の人たちには僕の気付かない若い世代の歌の力があるのだろうけれども、僕にとっては格別であったあの時代を偲びつつ、氏の残した歌を低く口ずさんで追悼したい。