「ゲットする」といふ言ひ方

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この頃は日本語の会話の中に「ゲットする」といふ言ひ方をしばしば耳にする様になった。けれども、自分でこの言葉を発するには未だにちょっと勇気が要る。最初に一度使ってしまへば後は抵抗なく使へるものかもしれないが、ともかく僕は使ふことをためらってしまふ。「ケア」とか「インフォーム」とか、日頃から僕は不必要に外来語を使ひたがる日本語の傾向を疎ましく思ってゐる。けれども、「ゲットする」といふ言ひ方が静かに定着した背景には、それなりの理由があるかもしれない。お金を出して買ふか、人にいただくか、あるひは無料でダウンロードするかして、ともかくも自分のものになるといふ意味の言葉を短い日本語で表すことができるだろうか。「得る」「入手する」「手に入れる」などが考へられるが、いづれも日常使ふ会話の中で使ふにはおさまりの悪い感じがある。「おしゃれな時計をしてるね、どうやって手に入れたの?」とは聞きにくい。そもそも所有といふ行為には潜在的にある種の後ろめたさがあるものだから、過去の日本人たちはその様な言葉を洗練させなかったのかもしれない。けれども現代の様に消費の盛んな時代になってくると、それを罪悪感もなしに直接短い一語で表したい要求が高まり、英語を借用する様になったのではないかと思ふ。似た様な事を「ピックアップ」にも思ふ。「途中寄って自動車に乗せてください」と言へば良いのかもしれないが、「拾ってください」などと言ふ人もある。それはあまり使ひたくないので、「ピックアップしてください」と僕もつい言ってしまふ。