機内の時間

金 旧暦 4月7日 仏滅 乙未 八白土星 Linnea Linn V19 24555 日目

成田からヘルシンキまで、10時間以上の空の旅をどう過ごすか。解放された気分の時間であるから自由にして良いのであるが、この頃は体力もないので何もせずただ静かにしてゐることが多い。するとつい、眠ってしまふ。最近は有料で機内WiFiサービスもあるが、飛行機に乗ってる間は、ネットの無い時間にしたいと僕は思ふので、利用しなかった。無料でも利用しないだろうか?機内アナウンスは「発着時には電子機器のスイッチをお切りください」と言ふ癖に、WiFi を利用するために上空に行っていつからスイッチを入れて良いのかのアナウンスがない。Mobildata を off にして、Wi-Fi を on にしておけばスイッチを切らなくても良いのだろうか?さうでもないと思ふ。ビデオも揃ってゐるが、見てるうちに眠ってしまって、どこまで見たか後で巻き戻しも面倒で、結局見ない。何かするならやはり読書が一番良い。眠くなったら栞を挟んで寝る。そんな風にして、今回はベストセラーで話題の本、井上章一の「京都ぎらい」を読んだ。洛中も洛外も僕らには等しく憧れの京都であるが、それがさうでもないといふ事は初めて知った。この人、本気で僻んでるのではない癖に、あたかも本気で怒ってる様な書きっぷりが大変面白かった。でももっと面白かったのは、袈裟姿で芸子と戯れる僧侶の話、姫と坊主の並ぶ姿への連想とか、さらにお寺の経済に関はる話である。お寺さんを怒らせてテンプルストライキをやられたら街の観光業が成り立たなくなる。寺側では拝観料の収入によって庭の手入れや美しい街並みを作ることに協力できるので、変に市当局に課税されてはそれが上手くいかなくなる理屈もあるような。また、地名と歴史との絡み合ひ、太平記の舞台など、僕には大変面白かった。後の章へ読み進むほど面白い本であると思った。