祖母の家計簿

火 旧暦 2月28日 大安 丁巳 六白金星 Irene Irja V14 24517 日目

お雛様を出す序でに家の中を整理してゐたら、古いノートが出てきた。祖母がつけてゐた家計簿であった。細かい文字がどのページにも並んでゐる。それは昭和16年1月1日から始まってゐた。昭和26年10月30日で終はってゐる。まさに先の戦争の戦中戦後の一市民の生活の記録がそこにあった。昔の出納簿は最初からページを刻印して売られてゐた様である。僕の生まれた日のことは、144ページに出てきたが、その直前は、昭和23年6月25日から昭和24年2月まで跳びがあった。6月28日の福井地震で家屋も全壊し、家計簿をつけられる様な状況では無かったのだと思ふ。幸ひにこの家計簿は生き延びて、それが僕が生まれたことをきっかけに再開したのかなと思ふ。今で言ふところのシングルマザーであった祖母は戦争の時代に一人娘を育て上げ、そこに戦後復員した父が養子に入り、三人の生活になる。やがて姉が生まれ、僕が生まれる。その時代のことが質素な暮らしぶりを示すその家計簿の記録から浮かび上がって来る。今度ゆっくりと見てみたい。さう思って静かに古いノートを閉じた。