とびいそぐ鳥たち

月 旧暦 1月29日 大安 戊子 四緑木星 Camilla V10 24488 日目

昨日のことである。自転車で町に向かって走ってゐると後ろから人の声が聞こえる様な気がした。誰かが僕を追ひ抜かうとしてゐるのかなと振り向いたが誰も居ない。自転車を止めて空を見上げると二羽の鳥が話し合ひながら頭上を斜めに過ぎて行った。その啼き声のイントネーションがまるで人間の会話の様に聞こえたのが何とも変であった。何を話してゐるのかは無論分からなかった。普通は群れて飛ぶ鳥の種類である様に見えたが、その時は二羽だけで飛んで行った。今日の午後に散歩した。するとまた昨日と同じ様な鳥が、今度は一羽でやはり南の空から現れた。広い空を見渡しても他に仲間が見あたらない。それなのに誰にといふでもなく、何かを訴える様に、啼きながら飛んで行った。仲間からはぐれたかなとちょっと可哀想になった。が、その時ふと連想がよぎった。もしかして、あれはいづれかの国境で行き場をなくしたシリア難民が、鳥に姿を変へてねぐらを探してゐる事はないかなとも思はれて、あはれに思はれた。