外から自分を見る

月 旧暦 12月2日 先勝 壬辰 二黒土星 成人の日 Jan Jannike V2 24432 日目

スウェーデンに最初にやって来て生活を始めた時に違和感があったことの一つは電気製品の差し込みの大きいことであった。日本の差し込みは小さくて場所をとらず、それが当たり前であると思ってゐたから、ヨーロッパに来て出会ったこの大きな差し込みに僕の心はなかなか馴染むことができなかった。ここに長く暮らした今ではもうその様な違和感を感じることはなくなった。人間は何かに慣れてしまふとそれが一番良いものだと思ひ込んでしまふ傾向がある。どの国の言葉でもその国の言葉でしか表現できないことってあると思ふが、自国の言葉が一番きめ細かく物事を表現できるものと思ひ込んでしまふ。昔、南蛮とか夷狄とかいふ言葉があって、自分の国以外は未開で野蛮であると人は信じた。19世紀のヨーロッパ列強の植民地政策には、ヨーロッパ以外は未開で野蛮な国々であるに違ひないといふ思ひ込みがあった。ヒットラーゲルマン民族こそ最も優秀なアーリア人であると唱へた。近所に外国人が増えるとあいつらは異質だと思ひ込んでしまふ。みんな間違ひである。自分の考へに信念を持つことは大事だが、相手は自分の気づかない何かを感じてゐるかもしれないと思ふことも同じ様に大事である。身近な生活の中で個人と個人がつきあふ時も、国と国の間、もしくは民族間でつきあふ時も、自分を一度突き放して外から自分を見てみる努力が大事ではないかと思ふ。日本よ、奢るなかれと僕は祈る。