京都の町

日 旧暦 7月24日 赤口 乙酉 九紫火星 Lillan Lilly V36 24316日目

世界のどんな都市であれ、文明の発展した地は良い気候に恵まれてゐる。例へばシンガポールなどはほぼ赤道直下にあるが、かなり住みやすい気候であると聞いてゐる。それで早い時代からイギリス領にされた。今はアジアにおける交通と金融の中心地になってゐる。ひとつには気候が良かったからだと思ふ。それに引き換へ、京都の町は盆地性の気候で、夏はとりわけ暑いし冬は格別寒い。文明の発達するには気候条件はあまり良くないのではないかと思ふが、それにも関はらず千年の都であり続けた。ただ暑いだけの町ではない、ただ寒いだけの町でもない。夏と冬の差が大きいからこそ「あはれ」を育んだかもしれない。清少納言枕草子で四季を描写した。そして春はあけぼの、夏は夜、、、と、四季のそれぞれでその季節感を愛づべきベストの時間帯を提案した。かういふ発想は世界のどの都市にも生じなかったのではないかと思ふ。明治時代に、首都が東京に移ったことは京都のために良かったと思ふ。京の町並みを眺めながら僕はそんなことを思ひ、北陸線に乗って田舎に向かった。