ダーラナ地方の二日目

土 旧暦 6月3日 友引 乙未 五黄土星 Fredrik Fritz V29 24266日目

外国へ旅行に出かけても、必ずしも楽しいことが待ってゐるとは限らない。盗難や災難にあったりする心配もある。国際的なテロが跋扈する昨今では世界のどこで事件に巻き込まれるかわからない。そんな心配をしながらわざわざお金をかけて外国旅行してもあまり楽しいとは言へない。旅とはもともと危険なことであると言ふ自覚がチラリと浮かぶ。仕事から身を引いていざ旅行でもしてみたい時期になると世界の情勢が旅行に適さなくなった感もある。それでこの夏は外国を避けてスウェーデンの国内旅行になった。今回来たこのダーラナ地方は雰囲気がゆったりしてゐて、人々は親切で、泥棒に遭ふことも滅多にない空気の穏やかさがあるので、今日は随分リラックスした気分で一日を過ごすことができた。「いい日旅立ち」と言ふ歌があるが、良い場所へ旅してもその時の気分や置かれた心的環境で旅の印象は随分変はる。「いい日」とは自分の心的状況が旅するに適した日と言ふことである。さて、夕方には Siljansnäs の室内音楽祭に行った。今日のコンサートは Wien と題されて、プログラムはシューベルトの歌曲、マーラー弦楽四重奏曲、アルフレッド・シュニッケ(Alfred Schnittke) の弦楽四重奏曲、ソプラノの歌曲がモーツァルトシューベルトマーラーフーゴ・ヴォルフによるもの。シューベルトの歌曲には「ます」、「海の静けさ」、「魔王」なども含まれてゐた。そして、最後にブラームスの弦楽五重奏曲作品34。圧巻であった。あれだけの演奏をじかに聞くことのできる機会は滅多にあるものではない。演奏はソプラノが Christina Högman、バイオリンが Nils-Erik Sparf、Anette Wistrand Lavotha、ビオラが Patrik Swedrup、チェロが Elemér Lavotha、ピアノが Mats Jansson であった。