地球と月

土 旧暦 10月29日 友引 乙丑 二黒土星 Israel Moses V51 24056日目

岩波新書「太陽系」(1976年)堀源一郎著 を若い時読んだが、その内容はすっかり忘れてゐる。忘れてゐると言へば聞こえは良いが、そもそもしっかりこの本を理解してゐないだけだ。それでも今でも覚えてゐるひとつの結論は、「太古、月は地球のすぐそばを回ってゐた」、「その頃は数時間で1日が過ぎた」、「月は次第に加速してその分地球から少しずつ離れて行った」、「そして1日の長さが次第に長くなった」、「現在、月は38万キロの彼方にある」、「月はこれからも軌道を広げて行き、1日の長さはさらに長くなって行く」、「40億年後に、月は地球から50万キロまで離れ、そこで釣り合ひがとれる」、「その時1日の長さは40日にもなる」、「その時月と地球はいつも同じ面を向かはせて回る」と言ふものであった。ヨハネの黙示録とは趣の違ふ予言であるが不気味だ。40億年後ともなれば地上の生命は死に絶えてゐると思ふが、もしその時、地上から月を眺めるとしたら、もはや月の満ち欠けは見られず、今より小さい満月の見られる地域ではいつもそれしか見られず、月の見られない地域ではいつまで経っても月が昇らない。そして、夜は延々と長く冷たい。昼は延々と長く暑い。こんなことを思ふと、僕らは本当に幸運な地球と月の位置関係の刹那に生きてゐることを知る。